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注文住宅の費用と節約方法について

注文住宅を建てる際に、どのくらいの費用がかかるのか、また費用をできるだけ節約するにはどうしたらいいのか解説していきます。

注文住宅の費用

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建物本体を建設するための費用

建物本体の工事費が注文住宅を建設する総費用の約7割を占めます。

工事を依頼する業者は、主にハウスメーカーと工務店です。

ハウスメーカーの方が費用が高めの傾向にあり、坪単価で見ると75万円前後が相場とされています。

工務店の場合には40~50万円くらいです。30坪であればハウスメーカーなら2250万円、工務店なら1200~1500万円ということになります。

ただ、あくまでこれは一般的な相場であり、ハウスメーカーでも安く工事してくれるところもあれば、工務店でも高めのところもあります。設計事務所に設計を依頼して、工事を工務店に頼む場合には、これとは別に設計費用が必要です。

付帯工事にかかる費用

建物本体の工事を始める前に地盤改良工事をする必要があります。

また、ガスや水道、電気、電話線などの引き込み工事も建物本体の工事と併せて必要でしょう。

エアコンや照明器具の取付などもしなければなりません。そのような工事を付帯工事と言い、総費用の15パーセント前後の金額がかかります。

付帯工事は住宅の間取りや敷地の条件などにより差が出やすいです。意外と高くつく場合もあるため、少し多めに見積もって資金計画を建てておくのが無難でしょう。

諸費用

諸費用も総費用の15パーセント前後と、意外と大きな割合を占めるため考慮しておかなければなりません。

登記費用や建築確認申請の手数料、住宅ローンの手続きにかかる費用などの他に、引越費用や火災保険料などがあります。

節約方法

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親御さんに資金援助してもらう

住宅購入に充てる資金を自分や配偶者の貯蓄と住宅ローンだけでなく、親御さんに援助してもらう人も多いです。親御さんに援助してもらうことで、住宅ローンで借入をする金額が少なくて済みます。

返済期間も短くなることから、住宅ローンの利息として支払う金額が節約できるのです。

そのため、注文住宅を建てる際には、親御さんに資金援助してもらえないか相談してみることをおすすめします。また、通常であれば1年間に110万円を超える金額の贈与を受けると贈与税がかかります。

注文住宅購入の資金として援助を受ける場合には、もっと大きな金額になるでしょう。

しかし、住宅購入の際に、直系尊属から資金援助を受けた場合には贈与税に関して特例があります。

省エネ住宅の場合、平成32年3月31日までなら、1200万円まで非課税です。通常の住宅でも700万円までが非課税になります。

平成33年12月31日までの時限立法で、平成32年4月1日以降は段階的に非課税枠が縮小されますが、それまでの間に注文住宅を建てようとしている人にとってはかなりお得な制度です。

夫婦それぞれで住宅ローンを利用する

共働きの場合には、旦那さんだけでなく夫婦両方が住宅ローンを利用することもできます。

ペアローンと呼ばれていて、お互いに連帯保証人になる仕組みです。ペアローンは夫婦合わせれば借入額が増えることが1つのメリットですが、節約にもなります。

住宅借入金特別控除も、夫婦それぞれで利用できるためです。住宅借入金特別控除は、住宅ローンの借入金残高の1パーセントが税額控除になる制度で、これにより所得税がゼロになる人もいるくらいです。

夫婦それぞれで住宅借入金特別控除の適用を受けられるのはかなり大きなメリットと言えるでしょう。ただ、後々に専業主婦になる予定の場合にはおすすめできません。返済が困難になってしまいます。

シンプルな形の建物なら費用が安く済む

住宅の建設費用は、建物の形が複雑になればなるほど高額です。凹凸が多く外周壁が長ければ、それだけ工事の内容も手間と時間がかかり費用も膨らみます。

逆に外周壁が短く、シンプルな形の建物であれば、費用を抑えることが可能です。

注文住宅を建てようとしている人の中には凝ったデザインにしたいと思っている人も多いでしょう。予算に余裕があれば、デザイン性を重視したオリジナリティー溢れる住宅にしたいものです。

しかし、費用を節約したいのであれば、デザイン性よりも実用性を重視した方が賢明でしょう。シンプルな形の住宅は費用が安いだけでなく実用面でも優れていることが多いです。

さらに、水回りを近い位置に集中させることで、給排水管が短くなりコスト削減につながります。

地域や建築工法によっても異なる注文住宅の相場

注文住宅にかかる費用は、地域や工法によっても異なってきます。

特に、木造住宅・鉄骨造・コンクリート造では、それぞれ使用する素材や建築方法が異なるため、どの工法を選ぶかによって大きな差が出てきますので、建築費用を抑えるには建築工法の選び方もポイントになります。

建築工法による費用相場の違い

一軒家の注文住宅を建てるには、大きく分けて木造・鉄骨造・コンクリート造の3種類に分けられます。一般的には木造住宅を選ぶ人が多いですが、設計やデザインから自由に決められる注文住宅なら、素材や工法も自由に選んで理想通りの家づくりをすることもできるのです。

ただ、使用する材料や工法によっては、予算をオーバーしてしまうこともあります。

木造

木造は、日本の一般的な一軒家の工法で、木材を使用して柱や梁を建てて建築していきます。

風通しが良く日本の気候に合っていますが、耐震性や防音性は高くなく、湿気やシロアリによる被害も想定されます。

建築費の相場は、40坪程度の一軒家で2,000万円~3,000万円程度。もっともコストがかからない工法と言えます。

鉄骨造

鉄骨造は、鉄骨で骨組みを作っていく工法で、アパートや小型のマンションなどにも採用されています。骨組みが鉄骨なので木造よりも耐久性や耐震性が高くなりますが、壁材は木造と変わらないので、遮音性などに違いはありません。

鉄骨を使用する分、コストは木造より割高になり、40坪の一軒家で2,500万円~3,500万円程度になります。

コンクリート造

コンクリート造の家は、鉄骨で枠を組んでそこにコンクリートを流し込んでいく工法で建てられます。そのため、非常に丈夫で遮音性などが高いという特徴があります。

大型のマンションに用いられる工法なので、耐震性や耐久性が高く、面積の広い豪邸の一軒家などに採用されることもあります。

工法も複雑でコンクリートなどの材料にもコストがかかるため、相場はもっとも高く、40坪の一軒家でも4,000万円以上かかるようになります。そもそも面積の広い家で採用されることが多いので、その分相場も高くなり、5,000万円を超えることも少なくありません。

地域による建築費用相場の違い

注文住宅を建てる際の費用は、地域によっても差があります。

それにはさまざまな理由が考えられますが、まず面積が広くて土地の価格が安い地域なら、広い土地で広々とした家を建てる人が多くなります。

具体的には、土地面積が狭いのに人口が密集している東京の平均床面積がもっとも狭く、富山県や山形県、宮城県などの地方になると床面積は広くなります。

しかし、戸あたりの建築費用がもっとも高いのは東京の3,934万円、もっとも安いのは島根県の2,514万円であり、一坪あたりの相場はやはり東京がもっとも高くなります。

基本的に、面積が広ければその分材料も多く必要になりますし、建築費用は高くなっていきますが、もっとも面積の狭い東京の建築費用が一番高くなるのは、狭小地ならではの工夫が必要な工法、物価の違い、人件費の違いなどが関わっていると言えます。

特に、東京などの都会は家賃が高いため、事務所を構える工務店やホームメーカーの経費も割高になり、さらに高い人件費を支払わなければならないので、自然に手数料や建築費用も高くなってしまいます。

また、都内にコンクリート造などの豪邸を建てる著名人も多いため、都内全体の建築費用の相場を上げていることも一因しています。

家を建てる際には、交通の便や利便性なども外せない条件にはなりますが、狭い土地しか取得できない場合は狭小住宅で建築費用が高めになる、人件費や手数料などで相場が高くなるというデメリットも生じることがあるので、土地の価格と共に建築費用の相場も検討して地域を選べば費用を抑えることにつながるでしょう。

参照URL:2016年度 フラット35利用者調査-住宅金融支援機構

まとめ

注文住宅を建てる際には、何にいくらかかるのか把握した上で資金計画を立てることが重要です。

ハウスメーカーや工務店で提示される坪単価は、建物本体の工事にかかる費用のみを指していることが多いため、注意しましょう。

付帯工事と諸費用を合わせると総費用の3割ほどになり、かなり大きな割合です。

また、親御さんに資金援助してもらったり、夫婦両方で住宅ローンを利用するなどの資金調達の方法を活用しましょう。税制面でも有利です。トータルで見ると大きな節約になるでしょう。